Recollection

Recollection・・・「追憶」

今日は私にとって忘れる事のできない日です。2007年の今日、山形での最も親しい友人が病に倒れ旅立ってしまいました。彼は私より一つ年下でしたが、責任感にあふれた誠実な男でした。山形でお互い知りあい、共に音楽に携わり、私は演奏と教育を、彼は楽器のテクニシャンとして修理や調整の道を歩み、それぞれ成長してゆきました。経験を積むにつれ、彼の技術は私たちプロ奏者が安心して自らの楽器を託せるまでに伸びてゆき、大手楽器メーカーの研究者や最新の技術を駆使するテクニシャンからも一目置かれるようになります。そんな技術を持ちながらも中、高校生を始めとするアマチュア奏者にもとても親切に接し、楽器のメンテナンスや部活の悩みの相談に夜遅くまでのったりするする毎日を送っていました。山形市内にある実家を改築した工房は、そんな音楽を愛する者たちが集う交流の場としてみんなに親しまれていました。

2007年の3月4日朝、楽器修理に多忙を極めながらも彼が精力的に展開していた学校での楽器クリニックのために、講師の先生を学校に送り届けた後、突然病に倒れた彼はそのまま帰らぬ人となり、46歳の生涯を閉じてしまいました。私はどうしてもそのことが信じられず、応答のない携帯電話に何度も発信した覚えがあります。それから4年も経ってしまいましたが、今でも彼が「すいませ〜ん」と帰ってくような気がしてなりません。しかし、仏壇の前に佇み、お香の香りに触れ、優しく微笑む遺影を見あげると、現実の重みと失われたものの大きさを改めて感じます。残された私たちは、彼の思い出を抱きつつ、彼が素晴らしい人生を歩み続けた事を語り継ぎ、いつの日か再び彼と再会できることを楽しみに願いながらこれからも自分らしく生き続ける事が大切であると感じています。

「Recollection」への2件のフィードバック

  1. ご無沙汰しています。
    最近なかなかコンサートにも伺えず、ブログだけを拝見しておりました。

    私も彼のことを思い出した一日でした。
    彼のお陰でいろいろの方と知り合うことが出来、そして楽しい思い出をたくさんいただきました。
    さりげない心遣いと優しい笑顔が思い出されます。

    彼の広げてくれた人のつながりは、今でも生き続けています。
    本当に、またお会いしたいですね。

  2. chikakoさま
    懐かしく温かい思い出がたくさんよみがえります・・・本当に素晴らしい時間を過ごせたと思います。彼の分まで毎日を大切にして生きてゆきたいですね。

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