今年度のスクールコンサートが今週からスタートしました。今年度の学校公演は山響の企画による通常のスクールコンサートと、先日の「名曲コンサート」のスポンサーである東北電力の提供によるコンサート、そして昨年秋からの「事業仕分け」で一時は廃止とされ、その後の全国的な運動で復活した文化庁の「子供のための優れた舞台芸術体験事業」の三事業で行われます。幸運なことに、スクールコンサートの開催に適したこれから11月末までのシーズンは、すでに多くの公演が決定していて、予定では本州の半分を巡る事になるようです。今週は月曜から29日の祝日をはさみ30日まで。庄内地方と村山地方で7ステージの公演です。例年、スクールコンサートの開催は、5月の大型連休と定期公演が終わったころから始まるのですが、今年度のように4月下旬からの開催はあまり例がありません。山響在籍がこの4月から27年目となった私も、満開の桜に囲まれた中でのスクールコンサートは始めてで、とても清々しい気持ちで演奏をする事ができました。寒気の影響で開花が遅れた事が思わぬ喜びをもたらしてくれました・・・明日も楽しみです!
月別アーカイブ: 2010年4月
Iwaki
先週に引き続き、東北電力「名曲コンサート」のリハーサル、明日が本番です。昨日は郡山市で49年ぶりの積雪があり、移動が心配されましたが無事にいわき市までたどり着けました・・・桜は満開になる前に雪に見舞われ、痛々しく見えます。今日も最高気温は8度ほどと、この時期としてはきわめて異例の気候ですね。
リハーサルと本番は、新たに建設された「いわき市芸術文化交流館(アリオス)」で行われますが、とても素晴らしいホールです!最新の設計で、馬蹄型の空間も大変広く、オーケストラの大音量もゆったり響きます。付帯設備やバックステージも広々としていて、アーティストに心理的余裕を与えてくれます。山形にもこんなホールがあれば・・・と本当に思います。新たなホールの建築は「ハコモノ」と言われ昨今の不況や「仕分け」などで全く進む気配がありませんが、目的の不明瞭な建築ではなく、山形の場合などはプロアマそれぞれが大変盛んに活動していて、北高や山大を始めとする優秀な教育機関もあり、洋楽はもとより邦楽などの団体やサークルも数多くある、とても文化的な都市です。そのような環境において、良いホールの必要性は充分にあるはずと思うのですが・・・理念なき「ハコモノ」ではなく、それを有効に活用する方法など、いくらでもあるはずです。
あまり愚痴っぽくなってもいけませんが、やはり新たな「山形県民会館」は必要です。いつが実現するよう、県民のみなさんで力を合わせて頑張りましょう。私の現役中に実現するかなあ・・・
Professional
今日は暖かな一日・・・ようやく春らしくなり、桜も咲き始めたようです。例年ならばすでに満開なのでしょうが、寒暖の差が激しい毎日が続き、草木も疲れているのでしょう・・・新緑も心なしか鮮やかさに欠けるように見えます。
オーケストラは金曜からのいわき市でのリハーサルとコンサートまでお休みで、生徒のレッスンやクリニックなどを中心に(自分の練習ももちろんですが)過します。今年度はここ数年では最も多忙なシーズンになりそうで、プレーヤーとしてはとうにヴェテラン(いろいろな意味がありますが、「熟練者」ですね)の域に達してしまった自分のコンディションと初めて演奏する新たなレパートリー、そして広範な演奏旅行の予定を見ては希望と不安が交錯します・・・・。とはいえ、いつでも問題が生じないように準備をし、しかもそれを人には見せないのがプロフェッショナルですから、しっかり責任を持った仕事を進めてゆかなければなりませんね。今日も生徒のクリニックを通して新たなインスピレーションを感じた瞬間がありました。いつもクリエイティヴな感情を持ち続けなければいけませんね!
Akita
昨日の本番後、秋田市に移動して友人達と楽しい夜を過しました。それにしても、昨日の積雪は信じられないというか・・・山形に住んで25年以上経ちますが、4月17日に雪が積もったのを見たのは初めてです。NHKなどの全国ニュースでも山形市の映像が報じられていましたが、山響のコンサートがあった鶴岡市でも、桜祭りが雪見祭りと化していました。それでもかなりの方々が公園に来ていましたが、ダウンジャケット姿での花見客を見た時は思わず苦笑してしまいました。
今日はこれから大仙市に移動して昨日と同じプログラムです。大仙市と言うのは秋田県南で合併により新たに生まれた自治体で、演奏会は大曲市民会館で行われます。神津ファミリーの暖かな雰囲気が会場中に伝わるとても素敵なコンサートです。今日も楽しい一日になりそうですね。
Tsuruoka
今日も寒かったですね・・・18世紀から戻った最初の仕事は、東北電力の主催による「名曲の夕べ」です。以前にも紹介しましたが、神津善行、中村メイコさんファミリーを中心としたさまざまなジャンルの音楽を提供する楽しいコンサートです。今回は明日の鶴岡と翌17日が秋田県大仙市(旧大曲市)と2日連続、また来週24日はいわき市と、3回のコンサートが予定されています。今日はリハーサルが明日の本番会場である鶴岡市文化会館で行われました。ちょうど、桜祭りが開催中でしたが、肌寒いというよりは完全に2月ころの風が漂っていて、開花も遅れているようでした。天気予報では明日はさらに寒く、雪が降るとのこと・・・一体、いつまでこの寒さが続くのでしょうか・・・。
music
素晴らしかった第204回定期演奏会・・・ハイドンを通じて18世紀のヨーロッパ文化に触れる事のできた日々でした。長い間のオーケストラ奏者としての経験を経ても、古典のレパートリーの深層まで踏み込めたコンサートはそうたくさんあるものではなかったかも知れません。しかし、思い起こせば第100回定期演奏会で共演し、その後もたびたび共演させていただいたた山響草創期のコンサートマスターであり、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の第一コンサートマスター(当時)であった安永 徹さんとのベートーヴェンなども、まるで出来立てのようにフレッシュな響きであったように思います。
芸術にはさまざまなジャンルがありますが、例えばシェイクスピアに代表される古典劇などは、創られた当時の英語で演じられます。日本の歌舞伎でも、もちろん現代の言葉使いを用いる事はありませんし、雅楽を洋楽の楽器で演奏する訳ではありません。オペラでは物語を現在に置き換えた演出がされることはまれにありますが、通常は作品が創られた当時のスタイルで再現されます。しかし、ほとんど音楽の世界だけが作曲者の意図とその当時の方法論を正確に再現せず、現代の楽器と環境(大きな会場と大編成のオーケストラ)で演奏されてしまうのではと、長い間私は感じていました。現代のオーケストラはバロック時代から今年作曲された新作まで、大変広範なレパートリーをもたなければなりませんし、時代ごとの奏法と使用する楽器をレパートリー毎に変更する事はほとんど不可能です。私たちは中部ヨーロッパの音楽を演奏する時にはロータリートランペットを使用しますが、それとてモーツァルトの時代にあった楽器ではなく、近・現代のヨーロッパのオーケストラが用いている事を考慮しているに過ぎません。
近年、山響でもナチュラルホルンやトランペットなどのオリジナル楽器を用い、モーツァルトを中心とした古典レパートリーの演奏を行っていますが、今回の鈴木秀美さんのアプローチは、楽器の奏法や楽譜に対する理解だけでなく、18世紀の音楽の語法について確固としたものを示し、それらはオーケストラにとって大変大きな影響となってこれからも残ってゆくと思います。音楽は「書かれた通り」にその本質が再現されなければならないし、時代楽器を用いない場合でも、作品に適した演奏スタイルをとる事がより必要なのだと思います。個人的にも鈴木さんとの多くの対話を通してナチュラルトランペットへのアプローチが根本から変わりましたし、古典のレパートリーに対しても新たな視点で勉強し直す意欲が高まりました。少し時間が必要かも知れませんが、より音楽的な演奏ができるよう、努力し続けてゆきたいと思っています。
Haydn
古楽演奏の世界的な第一人者の一人である鈴木秀美氏をお迎えしてのリハーサルは、通常の定期公演のリハーサルより一日多い4日間にわたるものでした。鈴木さんはその豊富な経験と深い知識を、気さくな雰囲気でオーケストラに伝えます。私たちは飯森監督とのモーツァルトのセッションでオリジナル楽器とピリオド奏法へのアプローチを取っていますが、今回の鈴木さんとのリハーサルは、使う楽器や奏法という方法論の向こう側にある「音楽」そのものを創り上げる実に有意義で楽しい時間でした。もちろん、オリジナル楽器を使用した事のないオーケストラに比べれば潜在能力ははるかにあるわけですから、鈴木さんのアプローチも自然に溶け込みます。そして、ハイドンという人がとても独創的で機知に富み、大変優れた作曲家だという事実をあらためて私たちも知る事となりました。私はハイドンの演奏ではグレン・グールドの演奏によるピアノソナタが大好きですが、今回のリハーサルの間、彼が再創造したハイドンの楽しい演奏を思い出す事が幾度となくありました。音楽へのアプローチは異なるものの、作品の本質を知り、音楽を「再創造する」事の重要性こそが私たち演奏家の務めなのでしょう。明日はきっと素晴らしい演奏会になると思います。早く舞台に上がりたくてワクワクしています!
84
読売ジャイアンツの名選手であり、今季からはコーチとしてますますの活躍が期待されていた木村拓也さんが亡くなられました。連日の報道で経緯については明らかになっていますが、37歳での旅立ちはあまりに突然で早すぎます・・・私は小さい頃から熱狂的なジャイアンツファンで、いわゆるV9時代のONに代表されるスター選手ももちろんですが、柴田、黒江や高田、少し前には国松や広岡などの脇役たちが大好きでした。彼らの一癖も二癖もあるしぶとい打撃や、バッターがヒットした瞬間にボールの方向を読む守備能力は大変高度で、長年にわたって優勝を続けることができたのも、主役と脇役がそれぞれの立場でバランスの良いチーム作りを心がけていたからだと思います。ジャイアンツは一時、FA選手やトレードで主力級をかき集めたものの、期待とは逆にチームのバランスを崩し、優勝から遠ざかってしまいます。そんな状況の中、原 辰徳が二度目の監督に就任し、ジャイアンツはようやく長期展望をもったチーム作りを始めます。木村拓也さんが広島から移籍してきたのはチームが低迷からはい上がろうとしていた2006年でした。広島時代から一瞬を大切にするプレイはジャイアンツでも発揮され、かつての名脇役たちと並ぶ大活躍と、その野球に対する姿勢、そして誰からも好かれる魅力あふれる人間性は若手を始めチーム全体に大きな影響を与え始めます。昨年もキャッチャーが不在となったゲーム途中で10年ぶりにマスクをかぶり、実に良い仕事をしたゲームがありました。現役として最後にチームが日本一になり、これから指導者として新しい「木村拓也」を育てる事を本人も楽しみにしていたことでしょう・・・早世は残念でなりませんが、木村さんが倒れられたのがジャイアンツに移籍してくる前の所属球団の本拠地で、現在も自宅がある広島であったことは偶然ではあるのかもしれませんが不思議な印象を感じます。
残された仲間達が木村さんの心を継いで行く事、それに何より深い悲しみの中にあるご家族に心よりお見舞い申し上げます。合掌。
The music
名古屋から戻り、今日は講師として勤務している山形北高音楽科の新年度当初の会議がありました。ここで私は23年にわたって指導しています。近年は不況の影響で音楽を勉強する生徒も減少していますが、真剣に音楽と向き合う生徒達はこの学校にはまだまだたくさんいます。人に音楽を教えるということ自体、大変シリアスなもので、教える方も日々研鑽が必要です。自分が経験した事しか伝える事ができないのですから、当然ですが。
夕方からは明日から始まる定期演奏会のリハーサルのために練習です。今回は古楽演奏の世界的権威である鈴木秀美氏が客演されるので、彼の音楽を長年にわたって勉強してきた私にとっても大変楽しみです。ナチュラルトランペットの音色と奏法を確認し、スコアを見直し音楽を読み直してリハーサルに備えます。そう、明日からは私たち山響が鈴木氏にレッスンを受ける日々になる事でしょう。「楽しい音楽の時間」が楽しみです。
Nagoya
ようやく春らしくなってきました。体調も良く、仕事もはかどります。昨日はヤマハ秋田店でトランペットセミナーがあり、朝9時から夕方6時までたくさんの受講生たちにレッスンをしました。また、前日夜は秋田市内の行きつけのお店で友人たちと全快祝いでした。およそ二ヶ月振りにソーセージなどの肉類を食べましたが、とても美味しかったです…
今日はオーケストラ協議会の会議のため、秋田から仙台経由で空路名古屋に来ています。早い時間の便しか予約が取れなかったので、中部国際空港で暇つぶし状態です。ここはとても大きな空港で、食事やショッピングもたくさん楽しむ事ができますし、Wi-Fiでインターネットも出来るので、このブログもiPhoneで書いています。
さて、闘病記も今回が最終回です。3月19日夕食から普通食になり、傷は動作によっては強い痛みがありますが、少しずつ治まってきました。以前にも書いたように病室はスーペリアルーム並みの快適さで、贅沢かとは思いましたが本当にリラックスできました(久しぶりの完全休養でしたから)翌21日はほぼ自由な歩行が可能になり、病院内を散歩したり売店に買い物に行ったりしていました。午後からは病室で入院後初めてトランペットを吹いてみました。予定では21日に退院し、24日から本番に復帰(しかも井上氏が休暇なので1st代理)する事にしていたので、どのような状態なのかを確認しておきたかったのです。アンブシュア(管楽器を演奏するための顔面や口腔などの機能やフォームの事を指す言葉です)は多少弱まっていましたが、呼吸機能は意外に大丈夫でした。今回は開腹ではなく腹部に四ヶ所の穴を開けたので、腹筋へのダメージは最小限で済んだ事が良かったのでしょう。それでも高音や大きな音を出すと痛みを感じましたが、復帰への不安を払拭する事ができ、安心でした。また、練習中に回診でドクターが現れ、演奏時の腹部の状態をチェックしていただく事もでき、何ら問題ないとの事で翌21日に予定どおり退院が決まりました。
21日、いよいよ退院です。朝食を済ませて荷作りをし、最後にバイタルチェック(体重は入院時が70キロ、退院時は68キロになっていました)と抜糸をし、ナースステーションに立ち寄りお礼の挨拶をして病院を後にします。外に出ると空気が一週間前より軽く、風の匂いからは春の色がほのかに漂います。健康を取り戻した安堵感と感謝の念に包まれながら軽快なドライブ(入・退院とも自分で車を運転して移動しました)で帰宅しました。
前回のダイエットからちょうど10年、昨年から体重が少しずつ増え、対策を考えていたところ偶然発見された胆石と入院、手術で健康管理の大切さを再び学ぶ事ができました。これから先、どこまで演奏家として現役生活を送れるかはわかりませんが、よいコンディションを保てるよう、努力を続けてゆきたいと感じています。