Haydn

古楽演奏の世界的な第一人者の一人である鈴木秀美氏をお迎えしてのリハーサルは、通常の定期公演のリハーサルより一日多い4日間にわたるものでした。鈴木さんはその豊富な経験と深い知識を、気さくな雰囲気でオーケストラに伝えます。私たちは飯森監督とのモーツァルトのセッションでオリジナル楽器とピリオド奏法へのアプローチを取っていますが、今回の鈴木さんとのリハーサルは、使う楽器や奏法という方法論の向こう側にある「音楽」そのものを創り上げる実に有意義で楽しい時間でした。もちろん、オリジナル楽器を使用した事のないオーケストラに比べれば潜在能力ははるかにあるわけですから、鈴木さんのアプローチも自然に溶け込みます。そして、ハイドンという人がとても独創的で機知に富み、大変優れた作曲家だという事実をあらためて私たちも知る事となりました。私はハイドンの演奏ではグレン・グールドの演奏によるピアノソナタが大好きですが、今回のリハーサルの間、彼が再創造したハイドンの楽しい演奏を思い出す事が幾度となくありました。音楽へのアプローチは異なるものの、作品の本質を知り、音楽を「再創造する」事の重要性こそが私たち演奏家の務めなのでしょう。明日はきっと素晴らしい演奏会になると思います。早く舞台に上がりたくてワクワクしています!