Lacrimosa

「コール・フォレスタ」との演奏会が終わりました。モーツァルトのレクイエムはとても好きな曲ですが、序奏のD-C#-D-E-Fのモティーフがバセットホルン(クラリネットの仲間です)とファゴットで歌われる部分は本当に美しく、何度聴いても感動してしまいます・・・映画「アマデウス」では、死の床にあるモーツァルトがサリエリに口述筆記をさせている場面で、Confutatisが使われています。しかしこのシーンは全くのフィクションで、こんな事はあり得ないと思いますが、音楽の使い方としては良いのかも知れません。そして、絶筆となったLacrimosaは8小節目までがモーツァルトの作品で、その後は弟子のジュスマイヤーが完成させます。これにも諸説あり、本当のところは分からないのでしょう。ただ、ジュスマイヤー版(今回はその楽譜で演奏しました)は批判はあるものの良く出来ていて、あまりの天才であったモーツァルトの仕事を引き継いだ事への苦労が偲ばれます。

今回も金管とティンパニはオリジナル楽器で、Tuba mirumの有名なトロンボーンのソロは、新日本フィルの宮下宣子さんが客演で見えられ、素晴らしいソロを聴かせていただきました。オリジナル楽器を演奏することで、作品の本質が見えてくることが良くありますが、この演奏も金管とティンパニがレクイエムに相応しい威厳のある響きが出せたと思っています。その意味においては、楽譜の版の違いではなく、モーツァルトの音楽の本質に少しは近い演奏だったのではと感じています。この曲を次に演奏できるのはいつか分かりませんが、今回は手応えのある演奏だったと思います。