Brahms

第221回定期で演奏するブラームスの交響曲第2番にはいくつか思い出があります。確か1970年頃だったと思いますが、当時のNHKでは「N響シンフォニーホール」という番組を毎週放送していて、音楽評論家の大木正興氏(懐かしい!)の司会で今からみるとかなりアカデミックな内容でした。私がトランペットを吹き始めた頃に、大木氏と指揮者のウォルフガング・サヴァリッシュとの対談形式でN響のリハーサルの映像を見ながら音楽について語る…という回があり、そこでブラームスの2番のリハーサルの模様が流れました。当時、サヴァリッシュ氏はN響に客演し始めたばかりでしたが、ドイツの名指揮者が来日したと話題になっていて、その指揮ぶりや音楽観などについて大木氏がかなり深い議論を展開していたのを子どもながら感心して見ていました。さまざまなシーンを経て第4楽章のコーダ部分、3本のトロンボーンがバスパートから順に下降系の音階を吹くところ(397小節目)があり、まさに音楽がクライマックスに達する箇所ですが、ここでサヴァリッシュ氏はオーケストラを止め、当時の首席トランペット奏者、北村源三氏に「もっと強く、大きな音で」と指示します。その場面で大木氏の質問に対してサヴァリッシュ氏は確か「金管全体に強い音を求めたかった」旨の発言をしたように思います。その後もう一度演奏されたコーダはとても力強く、圧倒的なものでした。そして三本のトロンボーンが最後にニ長調の主和音を吹き鳴らす(425小節目)瞬間、本番の映像に切り替わり、コンサートが終わり、番組も終わるという斬新なスタイルでした…それがとても強く印象に残り、いつかブラームスの2番を演奏してみたいと強く思うようになりました…今もそれを思い出すとゾクゾクしますね…