私がブラームスの2番を初めて演奏したのは1995年4月14日に山形県民会館で行われた第99回定期演奏会でした。当時は村川千秋さんの全盛期で、この演奏会はすでに客演指揮者として毎年登場していた黒岩英臣さんとのブラームスシリーズとして行われ、ロマンティックな音楽創りが真骨頂の黒岩さんが「熱い」ブラームスをじっくりと聴かせてくれました。私は1970年にテレビで観たサヴァリッシュ氏とN響の演奏から25年経ち、ようやくブラームスの2番を演奏する機会に恵まれ、とても感激していました。しかし、オーケストラのトランペット奏者にとってブラームスのパートは吹きやすいとは言えず、高音のレガートやピアニシモに苦労した記憶があります。この当時私は主に第一パートを演奏していましたが、この演奏会ではヤマハから提供されたD管のロータリートランペットと自分のC管を使い分けて演奏しました。それでも第4楽章の後半、25年前に観た場面が近づくと、その時の「いつかプロのオーケストラでこの曲を吹きたい」という想いが現実になる事の喜びで胸がいっぱいになり、トロンボーンの和音も素晴らしく決まり、充実した瞬間でした…ブラームスの4つの交響曲は、何度も演奏し、しかも第1、第2の両方のパートを演奏することができ、至福の時間を経験できましたが、特にこの2番は忘れられない曲の一つです。また演奏できてとても嬉しく思います。