昨年のチャイコフスキー国際コンクールでピアノ部門の第一位、そして全部門のグランプリを獲得したダニール・トリフォノフさんがリハーサルに現れ、名曲の一つであるチャイコフスキーのピアノ協奏曲第一番(第三番まであるんですよね…二番と三番を知っている方はいらっしゃいますか?)を演奏しました。トリフォノフさんはとても若く、スリムな体型で、一見バレリーナかフィギュアスケートの選手のようです。しかしピアノの前に座り音を出し始めると若きヴィルトーゾの雰囲気が漂います。とにかくテクニック、音楽のすべてが素晴らしく、圧倒的な演奏です。第一楽章の冒頭はとかく「弾き倒す」演奏になりがちですが、トリフォノフさんは明るくクリアーな響きで洗練されたアプローチをとっていました。私たちがイメージするチャイコフスキーはロシアの国民楽派的なものになりがちですが、実は当時西欧的すぎると批判されたくらいヨーロッパ的な音楽なのです。特にトリフォノフさんの演奏からはチャイコフスキーがフランスを意識していた雰囲気を感じる事ができます。山響もリハーサルが進むにつれてサウンドがどんどん変わり、ソリストとの一体感が増しこれこそ「協奏曲」(協奏、ですからね。伴奏、ではありません)らしい演奏になりました。リハーサルからこのテンションですから、本番がどうなるのかとても楽しみです!