今日は休日・・・山響では定期演奏会のリハーサル初日の前日と、最終公演日の翌日は「公休日」とする「労働協約」があります。これはとてもありがたい規則で、一日休むだけでかなりリフレッシュできますね(私はそうですが、そうではない人もいるかもしれません)ゼネラルマネージャーとしては今日も出勤しなければならないのでしょうが、楽員と兼務している現在は自分の判断で楽員としての規則も適用しています。今日は久しぶりにマッサージに行って、血液の流れがいかにも悪そうな体をリセットしてもらい、頭も軽くなりました。唇もかなり荒れていたので練習も休み、今日は音楽家としては「閉店」という事にして心身の休息です。長年演奏していると時々こんな日も必要になってくるんですね・・・
月別アーカイブ: 2012年5月
Yonezawa
三日間のリハーサルと三日連続のコンサートが終わりました・・・さすがに疲れましたね・・・肩と背中、それに頭がガンガンします。今回はやはりトリフォノフさんとの出会いですね。次に共演できるのはいつになるか分かりませんし(私はもう楽器を吹いていないかも)きっと大巨匠になっているでしょうね。でも山形での日々を忘れないでいてくれたら嬉しいですね。今日の米沢でも圧倒的なパフォーマンスでした・・・
ブラームスはやはり素晴らしい音楽です。個人的には1番が最も好きですが、2番の良さもあらためて知ることができました。舞台上の自分の席からはチェロやヴィオラの内声の動きが良く聴こえ、ブラームスが凝りに凝った対位法(作曲技法の一つです)をしっかり勉強できました。指揮をするときのスコアの読み方がこれから変わりそうです。
そう・・・実はこれで終わったわけではなく、来月には「さくらんぼコンサート2012」で再び同じプログラムで大阪と東京です。一度頭をリセットして新たに曲を見直してみようと思います。その前に少し休みたいな・・・
Memory
#221
初日のコンサートが終わりました。西村 朗さんの新曲には弦楽器奏者のみなさんは苦労していたようですが、精密なアンサンブルが素晴らしかったと思います。そしてトリフォノフさんのものすごい演奏!リハーサル、ゲネプロとも違う圧倒的なテクニックと表現力は、オーケストラと一体となりこれまで聴いた事のない世界を生み出しました。そして、後半のブラームスは穏やかな歌と深い響きがこの曲の特徴をよく表していたと思います。ホルン、オーボエ、チェロ…ブラボーです。
きっと明日も素晴らしい演奏になるでしょう。
Pianist
昨年のチャイコフスキー国際コンクールでピアノ部門の第一位、そして全部門のグランプリを獲得したダニール・トリフォノフさんがリハーサルに現れ、名曲の一つであるチャイコフスキーのピアノ協奏曲第一番(第三番まであるんですよね…二番と三番を知っている方はいらっしゃいますか?)を演奏しました。トリフォノフさんはとても若く、スリムな体型で、一見バレリーナかフィギュアスケートの選手のようです。しかしピアノの前に座り音を出し始めると若きヴィルトーゾの雰囲気が漂います。とにかくテクニック、音楽のすべてが素晴らしく、圧倒的な演奏です。第一楽章の冒頭はとかく「弾き倒す」演奏になりがちですが、トリフォノフさんは明るくクリアーな響きで洗練されたアプローチをとっていました。私たちがイメージするチャイコフスキーはロシアの国民楽派的なものになりがちですが、実は当時西欧的すぎると批判されたくらいヨーロッパ的な音楽なのです。特にトリフォノフさんの演奏からはチャイコフスキーがフランスを意識していた雰囲気を感じる事ができます。山響もリハーサルが進むにつれてサウンドがどんどん変わり、ソリストとの一体感が増しこれこそ「協奏曲」(協奏、ですからね。伴奏、ではありません)らしい演奏になりました。リハーサルからこのテンションですから、本番がどうなるのかとても楽しみです!
Brahms 2
私がブラームスの2番を初めて演奏したのは1995年4月14日に山形県民会館で行われた第99回定期演奏会でした。当時は村川千秋さんの全盛期で、この演奏会はすでに客演指揮者として毎年登場していた黒岩英臣さんとのブラームスシリーズとして行われ、ロマンティックな音楽創りが真骨頂の黒岩さんが「熱い」ブラームスをじっくりと聴かせてくれました。私は1970年にテレビで観たサヴァリッシュ氏とN響の演奏から25年経ち、ようやくブラームスの2番を演奏する機会に恵まれ、とても感激していました。しかし、オーケストラのトランペット奏者にとってブラームスのパートは吹きやすいとは言えず、高音のレガートやピアニシモに苦労した記憶があります。この当時私は主に第一パートを演奏していましたが、この演奏会ではヤマハから提供されたD管のロータリートランペットと自分のC管を使い分けて演奏しました。それでも第4楽章の後半、25年前に観た場面が近づくと、その時の「いつかプロのオーケストラでこの曲を吹きたい」という想いが現実になる事の喜びで胸がいっぱいになり、トロンボーンの和音も素晴らしく決まり、充実した瞬間でした…ブラームスの4つの交響曲は、何度も演奏し、しかも第1、第2の両方のパートを演奏することができ、至福の時間を経験できましたが、特にこの2番は忘れられない曲の一つです。また演奏できてとても嬉しく思います。
Brahms
第221回定期で演奏するブラームスの交響曲第2番にはいくつか思い出があります。確か1970年頃だったと思いますが、当時のNHKでは「N響シンフォニーホール」という番組を毎週放送していて、音楽評論家の大木正興氏(懐かしい!)の司会で今からみるとかなりアカデミックな内容でした。私がトランペットを吹き始めた頃に、大木氏と指揮者のウォルフガング・サヴァリッシュとの対談形式でN響のリハーサルの映像を見ながら音楽について語る…という回があり、そこでブラームスの2番のリハーサルの模様が流れました。当時、サヴァリッシュ氏はN響に客演し始めたばかりでしたが、ドイツの名指揮者が来日したと話題になっていて、その指揮ぶりや音楽観などについて大木氏がかなり深い議論を展開していたのを子どもながら感心して見ていました。さまざまなシーンを経て第4楽章のコーダ部分、3本のトロンボーンがバスパートから順に下降系の音階を吹くところ(397小節目)があり、まさに音楽がクライマックスに達する箇所ですが、ここでサヴァリッシュ氏はオーケストラを止め、当時の首席トランペット奏者、北村源三氏に「もっと強く、大きな音で」と指示します。その場面で大木氏の質問に対してサヴァリッシュ氏は確か「金管全体に強い音を求めたかった」旨の発言をしたように思います。その後もう一度演奏されたコーダはとても力強く、圧倒的なものでした。そして三本のトロンボーンが最後にニ長調の主和音を吹き鳴らす(425小節目)瞬間、本番の映像に切り替わり、コンサートが終わり、番組も終わるという斬新なスタイルでした…それがとても強く印象に残り、いつかブラームスの2番を演奏してみたいと強く思うようになりました…今もそれを思い出すとゾクゾクしますね…
Music eight
13日に収録したミュージックエイトの販売楽譜の参考演奏が、早くも同社のサイトにアップされています。今回の音源と、前回収録したもの(岡本和也さんの指揮です)両方があります。前回のものは販売用のCDとしても用意されています。また、私は以前に山形吹奏楽研究会を指揮して収録を行っていて、その音源もあります。ほかにも全国のさまざまな団体が演奏しているので、ぜひアクセスしてみて下さい。
ミュージックエイト社のサイト
on recording
先月30日に「2012コンサート」を終えた「けやきの森ブリティッシュブラス」は、年間2回の定期公演や、6月と12月に霞城セントラルでのコンサートなど、活動を広げつつありますが、今日は吹奏楽関連の楽譜出版社である「ミュージックエイト」社の依頼による販売楽譜の参考演奏を収録です。エイト社はおよそ40年の歴史を持つ出版社で、吹奏楽を始めとするアマチュア団体から大変支持されています。近年、インターネット網の発達に伴い、楽譜の販売システムも変わってきていますが、出版社のサイトから楽譜の参考演奏を聴くことができ、購入に際しての利便性が高まっています。音源は全国のさまざまな団体が演奏していますが、けやきでも以前から収録していて、エイト社のサイトで聴くことができます。今日はラヴェルのボレロからJ-popまで、10曲を4時間かけて収録しましたが、山響のレコーディングのように編集ができないので、ミスが出ると始めからやり直しになります。とは言ってもリラックスした雰囲気の中、無事に収録を終える事ができました。音源が公開されたらご案内しますので、ぜひ聴いてみて下さい!