pitch(ピッチ)・・・いわゆる「音律」です。
今週はバロックあり古典ありポピュラー音楽もありで、使用する楽器も3種類になり、プログラムもヘビーな毎日です。!stの席に座るのは今ではほとんどありませんが今週は久々に1stにいます。1990年代はほとんど1stを演奏していましたが、演奏で最も気をつけていたのがピッチを一定に保つことでした。オーケストラを見たことがある方はおわかりでしょうが、チューニングではオーボエがA音を出し、それを基準に全員が自分の楽器を調整します。世界基準の音律は、440ヘルツと決められていますが、実際は国やオーケストラによってかなり異なる状況があります。アメリカとイギリスは440ヘルツを守っていて、ヨーロッパでは地域にもよりますが443〜445ヘルツの場合もあり、日本は442ヘルツが暗黙の(?)基準と言われています。
私は6歳の頃(1965年ころ)からピアノを習い始めましたが、両親が買ってくれた楽器はピアノではなくオルガンでした。ピアノはとても高価だったので私はオルガンでも大喜びで、毎日何時間もオルガンの前で夢中で遊んでいました。ピアノは当時441〜442ヘルツで調律されていたそうですが、家のオルガンは440ヘルツぴったりで(かなり後で調べました)これをおもちゃ代わりにしていた私は「440ヘルツ」の絶対音感を身につける事になります。その後11歳からトランペットを始め、鼓笛隊(古い!)や吹奏楽で合奏を経験するようになると、家のオルガンと全然違うピッチがとにかく気になり、家に帰って練習するときなどはオルガンでチューニングし直し、440ヘルツの世界に一人で浸っていました・・・今から思うとかなり変ですよね・・・また、両親が初めて私のために買ってくれたクラシックのレコードは、カラヤンがイギリスのフィルハーモニア管弦楽団(今でも名門楽団です)を指揮したセットで、これも440ヘルツで演奏されていてとても快い響きに感じました。その後、トランペットにのめり込んでゆくとシカゴ交響楽団首席奏者のアドルフ・ハーセス(在任1948年〜2001年)やフィラデルフィア管弦楽団首席奏者のギルバート・ジョンソン(在任1957年〜1975年)に憧れるようになり、アメリカのオーケストラの響きを好むようになってゆきます・・・(つづく)