Baseball

星野監督と原監督が対決した今年の日本シリーズは、私はある感慨を持って見ていました。


2001年のシーズンを終えて勇退した長島茂雄監督の後、原辰徳が監督に就任します。2002年は長島監督も王監督も達成できなかった就任一年目からの日本一を達成し、監督としての将来を嘱望されますが、翌2003年に優勝を逃した事で読売フロントが現場に過度に介入し、原監督は現場を守るために抗議抵抗しますが受け入れられず、就任後わずか2年で辞任してしまいます(ナベツネは「読売グループ内の人事異動」と言いました… )

よほどの確執があったのか、東京ドームの最終戦でも読売フロントは原監督の辞任に対し何のセレモニーも行わず、無視するような扱いをします。

当時阪神の監督だった星野監督は、これに激怒し甲子園での巨人戦最終戦の際、阪神フロントに話を付け、原監督退任のセレモニーを何と甲子園で行い、自ら原監督に花束を渡し、「くじけるな!また戻って来い!」と励まし、球場全体が感動に包まれました。この場面はYouTubeで今も見ることができますが、大変感動的なシーンです…http://youtu.be/NbI7oNdZDE8

その後2005年秋に原監督は巨人に復帰し、今や歴代の監督と比べても名将の域に達するまでになりましたが、心の中では星野監督と勝負できる日を待っていたように思います。そして2011年、震災の年に星野監督は楽天の監督に就任し、素晴らしいチームを創り、ついに今年リーグ優勝し、日本シリーズという最高の舞台で巨人を倒し、現役時代からの宿願を果たします。また敗退したものの、原監督もかつての挫折を乗り越え、立派に成長した自分とチームを率いて星野監督と対決できた事で最高の「恩返し」をすることができたのでは、と思っています。優勝監督のインタビューで、星野監督は「ジャイアンツを倒せた事が嬉しい」旨の発言をされましたが、「タツノリと勝負できてよかった」と私には聞こえましたし、原監督の「尊敬する先輩である星野監督と全力で戦った」のコメントも、星野監督への敬意、感謝と祝福を表しているように思えてなりません。私にとってはチームの勝敗ではなく、この二人が最高の舞台で対決できた事が何より忘れられない今年の思い出です。