Audition

今日は欠員になっているヴァイオリンとチェロの新たな奏者を雇うためのオーディションが山形県民会館で行われました。オーケストラの世界では、メンバーに欠員が出た場合や増員などで新たなメンバーが必要になった場合に、オーディションと呼ばれる採用試験を行います。通常は試験日の数ヶ月前に音楽関係の雑誌や音楽大学などの教育機関に求人広告を出します。試験はほとんどの場合一次審査、二次審査の二段階で行われ、オーケストラから提示された課題曲と、いくつかのオーケストラレパートリーから重要な部分を抜粋したものを演奏します。審査は指揮者を含む全楽員の投票で合否が決定され、その後数ヶ月から一年ほどの試用期間を経て本採用になります。それぞれのオーケストラで若干の違いはあるものの、概ねこのような流れでオーディションは行われます。一般企業との最も大きな違いは、職員(楽団員)全員で試験の採点を行う事ですね・・・もちろん、最終的には雇用主である「社団法人 山形交響楽協会」の理事長の名において採用が決定されるのですが、採用試験の採点を楽員全員で行うのはオーケストラだけかもしれません。

「オーディション」という言葉は、演劇や音楽など、動きや演奏を伴う能力を審査する時に使われる用語で、筆記試験では使われません。英語表記では「Audition」ですが、類似語に「auditorium(オーディトリアム・公会堂」「audio(オーディオ・音響機器)」などがあります。それぞれの単語にある「audi」はラテン語で「聴く」という意味で、このように英語にも引き継がれています。ちなみに、ドイツの自動車メーカーで、フォルクスワーゲングループの一つである「Audi(アウディ)」も同じ意味ですが、この社名の由来は創立者の名前がアウグスト・ホルヒという人で、このホルヒ(horch)をラテン語に訳すと「Audi」となる事によっています。

私が山響のオーディションを受けたのはもう27年も前の事です・・・当時、リハーサル会場は山形テレビの大きなスタジオで、オーディションもそこで行われました。とても緊張しながら演奏したことを思い出します。今日もたくさんの受験者の緊張した様子を見ましたが、合否に関係なくこの経験が音楽家としての大きなステップの一つとなってくれる事を願わずにはいられません。

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