1992/3/24

山形交響楽団第83回定期演奏会
1992年3月24日 山形市民会館
指揮:田中良和

ラヴェル:組曲「マ・メール・ロア」
フォーレ:組曲「ペレアスとメリザンド」
ムソルグスキー=ラヴェル:組曲「展覧会の絵」

トランペットが私一人になり、オーディションを2回行っても該当者がなく、一年の月日があっという間に過ぎてゆきました。その間、すべての演奏会でエキストラを起用しなければならず、連絡等に忙殺された記憶があります。当時は携帯もメールもパソコンもなく、留守番電話だけが頼りといった感じで、ファックスはありましたがそれほど役に立つものではありませんでした。また、この時期はコンサートマスターも一人だけで、客演コンマスや弦楽器の客演首席奏者の確保にも苦労した思い出があります。個人的にも年間すべての公演で第1トランペットを演奏する事は初めてで、しかも自分のパートナーが決らない事(つまり、毎回エキストラ)へのフラストレーションも重なっていました。それでも、次第にエキストラは3〜4名のプレイヤーで固定されてゆき、仕事も少しずつ楽になっていきました。

そのような状況の中、1992年2月にトランペットとしては3回目のオーディションが行われ、併せて欠員になっていたホルン、ファゴット、打楽器などのパートのオーディションも行われました。このオーディションでようやく優れたトランペット奏者に出会う事ができ、その人こそ現在の首席トランペット奏者、井上直樹君でした。また、このオーディションではホルン岡本和也、パーカッション平下和生、ファゴット難波 彰(現在は退団)とその後の山響の中核をなす奏者が合格し、管・打セクションに新しい雰囲気が生まれる事が期待されました。4人は新年度からの採用に先立ち、3月24日の第83回定期演奏会に揃ってエキストラとして出演し、立派な演奏を披露しました。私は「展覧会の絵」でプレッシャーのかかるソリスト(TV収録もありました)でしたが、新たなメンバー達と共に希望と喜びをもって演奏した事を今も懐かしく思います。

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