Silvester ・・・ドイツ語で「大晦日」(聖ジルベスターの日)の意味です。最近は、「ジルベスターコンサート」などでこの言葉を聞いた事がある方も多いかと思います。英語ではNew Year’s Eveですね。
山響は26日が仕事納めで、「第9」の演奏も全くない年の方が多いので、日本のオーケストラの中では最も年末年始をゆっくり過ごせるオーケストラだと思います。群馬交響楽団は元旦午後にニューイヤーコンサートを行いますし、今日も恒例のカウントダウンコンサートが飯森さんの指揮でみなとみらいホールで開かれています。まあ、50人足らずのオーケストラが交代勤務なしに年間150回以上のコンサートをこなす訳ですから、年末年始の休暇はかえって必要と私は考えています。「第9」も数年ごとに演奏する方が新鮮な気持ちでアプローチできますし、あのような内容の濃い曲をを12月だけで何度も演奏する事には精神的な負担が大きいと私個人としては感じています。
今年も、というか例年以上に多忙な年でしたが、一番の出来事はやはり3月の入院、手術でしょう。決して体調管理を怠っていた訳ではありませんが、40代後半からの体調の変化にもう少し注意を向ければ良かったかも知れません。しかし、2月に発病、3月に入院して以来健康についてよく考えるようになりましたし(でも、今年も良く飲みました)、退院後も今日まで良好な予後を過ごせた事は大変良かったと思います。オーケストラ奏者としては、今年も多くの方々に支えられ良い演奏を多く行えたと思いますし、山響もまた一つあらたなサウンドを身に付けた、と言えるでしょう。また、個人としても指揮活動や教育活動でも実り多い一年でした。来年の今日もさらに良い一年だった、と振り返る事ができるよう、明日からまた新たな気持ちで音楽に向き合いたいと思います。今年お世話になったすべての皆様に心より感謝するとともに、来年が平和で良い年になるよう切に希望します。
ありがとうございました!
今年も残すところ今日と明日・・・いろいろな事がありましたが、今日はこれを書いておきたいと思います。
私は1986年からヤマハのトランペットで演奏活動を続けていて、現在も最新のYTR-9445CHS、9335CHSを中心に7台のヤマハトランペットを使用しています。ヤマハが管楽器の製作を本格的に始めたのは1965年頃で、トランペットの世界では1920年代から「標準器」として使われ続けてきたアメリカ製の楽器(私も学生時代はそれを使っていました)を凌ぐ楽器作りを目標に、プロジェクトが始まりました。始めは暗中模索に近いような状態でしたが、製作者のさまざまな苦労と時間をかけた戦いは、しだいに成果を表し始めます。そして、1970年頃に、初めてプロフェッショナル向けのトランペット「カスタム」シリーズを発表し、世界中のプレイヤーから注目されるようになります。さらに、1973年から並行してスタートしていたウィーン・フィルハーモニー管弦楽団からの依頼、いわゆる伝統楽器の新製作のための研究も通常のトランペット製作へ大きな効果を与え、1980年代に発表された楽器は前述の「標準器」と並ぶ高い評価を得ます・・・
1986年、山響に入って3年目の私は、学生時代から使用していた「標準器」が老朽化した事から、それに代わるものを探していました。私の楽器は北海道時代の先生から受け継いだいわゆる「オールド」もので、製作されてからすでに25年近く経っていて、金管楽器としてはそろそろ寿命でした。最初は同じメーカーの新しい楽器を試しましたが、昔のサウンドとは違う響きで、私の感覚に合うものではありませんでした。そうした中、当時のヤマハスタッフから新型トランペットのテストと評価を依頼され、試作器の提供を受け試奏してみたところ、私の楽器がリニューアルされてきたような強い衝撃を感じ、すぐに自分の楽器を購入し、ヤマハのトランペット製作にも協力する事になり、現在に至っています。
1990年、ヤマハは全く新しいコンセプトに基づく新たなトランペットを発表します。「Xeno」(ゼノ)と名付けられたその楽器は、世界中のトランペット奏者から絶賛をもって迎えられ、ヤマハが会社を挙げて長年にわたり取り組んできた「標準器」を超える楽器が遂に誕生します。その楽器はさらに改良を加えられ、「現代の名器」として揺るぎない地位を確立します。そして今年2010年、その「Xeno」は誕生20周年を迎えました。それを記念してヤマハのホームページ内に特別に設けられたサイトがあり、これまでプロジェクトに携わってきた世界中のプレーヤーが祝福のメッセージを寄せています。もちろん、私のメッセージと写真もあります。1965年からこれまで、多くの人々とプレイヤーが協力して目指してきた大きな夢は、素晴らしい形で実現したのです。今年を振り返る時、私の音楽人生をいつも支えてくれたヤマハトランペットとそれに携わった全ての方々に心から感謝と祝福の念を持たずにはいられません。
http://jp.yamaha.com/products/musical-instruments/winds/trumpets/xeno_special/
山響のオーケストラでの仕事納めは昨日でしたが、今日は小学生を対象としたクリニックの講師として同僚たちと鶴岡市に行ってきました。このクリニックは毎年この時期に行われていて、小学校の吹奏楽、金管バンド、それにジュニアオーケストラのメンバーも加わり、金管奏法の基本を中心にレッスンしてきました。昨日の白鷹町でのコンサート同様、オーケストラの地域活動として大切な行事の一つですね。明日は酒田市民会館で山形6中のアンサンブルコンテスト山形県大会に向けたリハーサルをレッスンするために酒田に向かいますが、それにしても毎日続くこの雪はいつまでつづくのでしょうか・・・
クリスマスイブから降り続いた雪は、街一面を白く彩ります・・・昨日は山響のリハーサルの後、開場10周年を迎えた山形駅西口の霞城セントラルで「けやきの森ブリティッシュブラス」のクリスマスコンサートを指揮しました。寒い中たくさんの方に聴いていただき、演奏もとても良かったと思います。その後は打ち上げ兼忘年会・・・プレイヤーのみんなと楽しく過ごしました。
今日は山響の仕事納めのコンサートで、白鷹町での公演でした。会場までおよそ30キロ弱のドライブは、きれいな雪景色とタイヤから伝わる雪と氷の感触が楽しかったです。この演奏会は、実行委員会の方々の献身的な努力で長い間続けられているもので、定期演奏会、スクールコンサートと並び山響にとってとても大切なコンサートです。終演後には実行委員会の方々と楽員、事務局員による交流会が行われ、すでに友人となって久しい白鷹町の優しい方々と寛いだ時間を過しました。また、本番前には私が山形に来て初めて吹奏楽の指導に行った宮内高校(現・南陽高校)の卒業生が4人で面会に来てくれて、懐かしく談笑しました。当時私は26歳、生徒たちは15〜18歳で、お互い本当に若かったです・・・あれからかなりの時間が経ちましたが、指導していたときの記憶は鮮明に残っています。音楽を通して知りあい、時間が経ってもまたコンサートを聴きに来てくれて再会できるなんて、とても嬉しい事です。これは多忙だった今年の最後に音楽の神様からもらったプレゼントなのかも知れませんね。
外は雪・・・ようやくクリスマスらしくなってきました。といっても何かと忙しい事には変わりません。敬虔なクリスチャンなら理解できないでしょうね・・・
昨日は山形市民会館で井上あずみさんをゲストに・・・というか、あずみさんのコンサートに山響が出演したといった方が正しいかも知れません。彼女は年間100回ほどのコンサートを全国各地で展開する他、NHK「みんなのうた」のタイトルヴォーカルも務めていて、その優しい声に接した方も多い事でしょう。プログラムは久石 讓さんのいわゆるジブリ映画の曲がほとんどでしたが、一度耳にしたら忘れられないメロディーを作る事は並大抵ではありません。本来、久石さんは現代音楽のジャンルでも最先端をゆく作曲家ですが、本当に才能あふれる方だと思います。井上あずみさんも、彼女にしかできない独特の美しさで言葉の繊細な表情を歌います。演奏しながら癒されるようなコンサートでした。
また、昨日は久しぶりの山形市民会館でのコンサートで、かつてこの場所は村川千秋さん、渡部勝彦さん、黒岩英臣さんと歴代のマエストロによってサウンドをクリエイトしてきたホールで、山形県民会館と共にいわば山響の原点ともいえる会場です。10年前に山形テルサがオープンしてからは定期公演を開催する事はなくなってしまいましたが、ホールに響くサウンドは往時の山響の響きを思い出させてくれます。私にとっても1番奏者時代のマーラー5番や展覧会の絵、村川さんとのシベリウス、黒岩さんとのブラームスなどは忘れられません。もちろん、住み心地のよい「新しい家」が現在の本拠地ですが、これからの歩みを夢見る時、かつて暮らした場所で自分を見つめ直す事も時には必要なのかも知れません。
更新が滞りがちです…時間の流れが早過ぎますね…
土曜日の定期公演は、ウォルトンの凝縮された響きをオケ全体で表現した感がありました。藤岡さん、そしてブルッフの協奏曲で素晴らしい演奏をした二村さん、さらに最後まで集中して聴いて下さったお客様…皆さんに感謝です。
昨日は私が常任指揮者を務める山形市役所ウィンドアンサンブルの忘年会でした。楽しかったけど飲み過ぎですね…
今日はMUJオーケストラ協議会の会議のため、空路名古屋に来ています。私はこの協議会で7年にわたって議長を務めています。すぐに成果が現れる事ばかりではありませんが、この業界と日本の文化が少しでも良くなればと努力を続けています。演奏とユニオン活動を並行してゆくのは困難な面もありますが、その経験は自分にとってプラスになっていると思います。明日は山形に戻りリハーサルです。どんな場面でも怯まずに前に進めれば、と感じています。
昨日までのリハーサルが終わり、今日は第209回定期公演の初日で、酒田市民会館に来ています。今回メインで演奏するウォルトンの交響曲第一番は、複雑なテーマが入り組んでいて、ハーモニー的にも20世紀初頭の音楽らしい個性があります。山響には三度目の客演になる藤岡幸夫さんは、エネルギッシュな指揮でオーケストラをドライブし、楽員も全力で応えますが、とにかく藤岡さんは元気!15日のリハーサル後には山響の忘年会があり、彼も参加してくれましたが、ノリノリで過ごしてくれて、本当に楽しかったです。また、ブルッフの協奏曲でソリストの二村英仁さんも、美しい音色で知的な演奏が素晴らしい!これからまもなく本番ですが、いろいろな楽しみ方ができる演奏会になると思います。ご期待下さい!
今日から客演指揮に藤岡幸夫さんをお迎えして、17、18日に行われる第209回定期公演のリハーサルが始まりました。相変わらずノリと流れの良い指揮ぶりは、山響からクリーンな響きを引き出しています。ウォルトンの交響曲を始めとするブリティッシュレパートリーは日本ではそれほど演奏される機会がありませんが、藤岡さんのリハーサルぶりからは今回も良い本番になる予感が漂います。
さて、ベートーヴェンの9番の話しでしたね。私たち日本人は一年ごとの区切りをとても大切にする民族です。借金や争いごと、良い事や悪い事全てを大晦日までに片づけて、元旦からは全てが新しくなったように振る舞う事を好みます。12月のことを「師走」と呼びますが、この一ヶ月は多くの方々にとって最大のイベントとされるクリスマスもあり、景気は良くないものの盛り上がりに遅れをとってはならぬとばかりに買い物をし、誰もがパーティーの主役になり切ります・・・そして、矢の如く過ぎていった一年を振り返り、「今年もあっという間だった・・・」とか言ってコタツでテレビを見ながら年末ジャンボ宝くじの当選を夢見たりします。そういう「一年の総決算」的なシチュエーションには一大叙情詩で大河ドラマ的なベートーヴェンの9番がピッタリハマるのかも知れません。シラーの歌詞を知らなくてもベートーヴェンが苦しみの中でこの9番を作曲した事も忘れてしまっても、全曲にわたって貫かれている「苦悩を伴った前進、そして訪れる歓喜」に自らの人生を重ね合わせる人は多いでしょう。この曲を演奏する時、客席のお客様の表情はまさにそんな雰囲気に満ちています。今日も日本のどこかで9番が演奏されていると思いますが、多くの人々に力を与えてくれるベートーヴェンの音楽のエネルギーはまさに「世界遺産」のようなものだと思います。Freude!
昨日は鶴岡市と東京江戸川区の文化交流として14年にわたって続けられている合同の合唱での「メサイア」の演奏会でした。よく練習された事が伺える素晴らしい演奏でした。オーケストラも良い響きを出していたと思います。
12月になると日本ではベートーヴェンの「9番」(あえて「第9」とは言いません)が頻繁に演奏されます。これは戦後の事で、財政的に困窮していたあるオーケストラが年末の資金難を乗り越えるための苦肉の策として考え出したのが始まり、と言われています。この「9番」は、ベートーヴェンの交響曲の中でも極めて個性的で、当時の交響曲としては異例に長い演奏時間、「5番」と「6番」で使われたトロンボーンとピッコロ、コントラファゴットなどが使われているなど巨大な楽器編成、それに4人の独唱者と混声合唱、そして不屈の精神で自由を唱えたフリードリッヒ・フォン・シラーのテキスト・・・この「歓喜」というメッセージはフランス革命以降に広まった伝統や因習からの「解放」と「自由」を意味するものと解釈できますが、このような政治的、社会的なメッセージを音楽に盛り込む事も当時としてはほとんど例がありません・・・これは交響曲ではなく、カンタータと言った方が良いと思います。
このように、大変特別な意味を持つこの曲が12月という期間限定(?)でこれほどたくさん演奏される国は日本以外にありません。これは、シラーやベートーヴェンの哲学に共感しているというよりも、日本人独特の観点によるものだと私は考えています。(つづく)
A late riser・・・12月に入って遠隔地での公演や泊まりがけの仕事が減ったので、つい夜更かしをしてしまいます。もっとも、多忙な時期でも睡眠時間は5〜6時間がほとんどで、それにも慣れたかと思っていましたが、やはり体は正直ですね、ゆっくり眠れる環境になったら朝が辛くなりました。また、お酒を楽しんでいてもある時点から電源が落ちたように眠ってしまう事も時々あり、困ったものです・・・
今日からは12日に鶴岡市で開催される「メサイア」のリハーサルです。夏にもソロパートを演奏しましたが、今回は定席のセカンドです。演奏する楽章は全体のうちごく僅かですが、休みの楽章の間は山響の仲間の演奏を楽しもうと思います。
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