Hallelujah&Freude

昨日は鶴岡市と東京江戸川区の文化交流として14年にわたって続けられている合同の合唱での「メサイア」の演奏会でした。よく練習された事が伺える素晴らしい演奏でした。オーケストラも良い響きを出していたと思います。

12月になると日本ではベートーヴェンの「9番」(あえて「第9」とは言いません)が頻繁に演奏されます。これは戦後の事で、財政的に困窮していたあるオーケストラが年末の資金難を乗り越えるための苦肉の策として考え出したのが始まり、と言われています。この「9番」は、ベートーヴェンの交響曲の中でも極めて個性的で、当時の交響曲としては異例に長い演奏時間、「5番」と「6番」で使われたトロンボーンとピッコロ、コントラファゴットなどが使われているなど巨大な楽器編成、それに4人の独唱者と混声合唱、そして不屈の精神で自由を唱えたフリードリッヒ・フォン・シラーのテキスト・・・この「歓喜」というメッセージはフランス革命以降に広まった伝統や因習からの「解放」と「自由」を意味するものと解釈できますが、このような政治的、社会的なメッセージを音楽に盛り込む事も当時としてはほとんど例がありません・・・これは交響曲ではなく、カンタータと言った方が良いと思います。

このように、大変特別な意味を持つこの曲が12月という期間限定(?)でこれほどたくさん演奏される国は日本以外にありません。これは、シラーやベートーヴェンの哲学に共感しているというよりも、日本人独特の観点によるものだと私は考えています。(つづく)