更新する時間がなく、少し空いてしまいました。20日の金管五重奏は、村山市に新たに建てられた「甑葉プラザ」で地域の皆さんと一緒にブラスの響きを楽しむ事ができました。ホールは山形テルサのアポローズ位でしょうか。木材がふんだんに使われているので、自然な響きがします。山響の弦、木管のアンサンブルでもきっと良い響きがするでしょう。また、図書館やカフェも併設されていて、デザイン的にも素敵な施設です。これから新たな市民の交流の場としての期待が高まります。
本番終了後は山響の新潟ツアーに出発です。今回は三泊四日、5回の学校公演で、新潟県上越、中越、下越と毎日北上してきます。20日の本番終了後は上越市まで移動し、21日は上越市内、小千谷市内のそれぞれ小学校で演奏しました。この時期の体育館公演はとても蒸し暑く、演奏には苦労が伴いますが、みんな汗だくでがんばっています。開演前のウォーミングアップでは、26日の「さくらんぼコンサート」で演奏するチャイコフスキーを練習する様子も聴こえます。
21日は15時に二回目の本番が終わると、MUJオーケストラ協議会の会議に出席するために車で名古屋に向かいました。小千谷からは北陸道〜上信越道〜中央道〜名阪道をたどりおよそ460キロの道のりです。会議は18時30分からの開始でしたが、一時間遅れで19時30分に無事に名古屋に到着しました。22時30分頃まで名古屋に滞在し、明日の公演地である新潟県津南村付近まで移動し、21日だけで約900キロ近くドライブしました。疲れていないといえばウソになりますが、高速ドライブは私にとって一番のストレス解消です。ホテルには午前三時に到着し、爆睡です・・・今日は津南、十日町で本番後、燕三条に移動です。広々とした田園風景を見ながらのドライブはとても心地よいです!
中村紘子さん、凄かったです・・・
以前にも山響とショパンの一番を共演させていただいた事がありましたが、今回はさらにスケールの大きな音楽を表現され、まさに圧倒的でした。ショパンの協奏曲は何百回と弾かれているのでしょうが、リハーサルから高い集中力でホールの空気を音楽に変えてゆく様は、真のアーティストとしての姿を示しているようでした。本番ではオーケストラが奏でるモティーフをその何倍にも美しくして返してきたり、リハーサルとは違う音楽の動きや音色が次から次へと出てきて、お互いの創造力を限界まで駆使した演奏だったのではと思います。とりわけ、第二楽章での弱音の美しさと陰影深い語り口が強く印象に残ります・・・
山形テルサ オープン10周年プレミアムコンサート初日が終わりました。ソプラノ森 麻季さんの演奏は本当に素晴らしかったです!滑らかで輝きのある美声と、ヘンデルでのバロック唱法からロッシーニ、シュトラウスの圧倒的な表現力には驚嘆しました・・・
私たち器楽奏者は、誰もが人の声に近づきたいと思っていて、音色を作る事や表現することを「voicing」と呼んだりします。楽器を完全に自由に操る事が伴わなければそれも困難ですが、森さんの音楽からは私たちにとって最も大切な「何か」が伝わってきたように思います。今日はデビュー50周年を迎えた日本を代表するピアニスト、中村紘子さんをお迎えしてショパンの協奏曲です。演奏家として円熟期にある中村さんの「voicing」がどのようなものか、興味は尽きません。
ワールドカップサッカー南アフリカ大会は、日本の歴史的な勝利や、昨日のスペインVSスイスの予想外の展開など、開幕早々からボルテージの高さが際立っています。現在のところ、治安面で命にかかわるような深刻な問題は発生していないようですが、最後まで安心はできませんね。
実は、私も2008年9月28日から10月4日まで、FIM(国際音楽家連盟)の総会に参加するため、単身でヨハネスブルグに行ってきました。日本からは直通便はないので、成田から香港まで4時間半、乗り換えでヨハネスブルグまで12時間以上かかりました。出発前はどの資料を見ても「世界最悪の犯罪都市」「警戒度最高」などとあり、とにかく不安だったことを思い出します。会議はおよそ200名の世界中の音楽ユニオン関係者や南アフリカの文化大臣なども出席する大規模なもので、MUJ (日本音楽家ユニオン)からは私一人の参加でした。開場はヨハネスブルグ市内でも最も安全な「サンドン地区」のホテルを借りきって行われ、日中ならば一人で付近を歩いても安全といわれ、実際大丈夫でした。また、ホテル周辺は地下のショッピングモールを含め、武装警官(警官というよりは完全に軍隊)が機関銃を所持しているという物々しさで、不審な行動をとったらたちまち射殺されるのでは・・・という雰囲気でした。また、空港に到着したら現地のユニオン関係者が迎えに出ているとの連絡を受けていましたが、誰も来ていなくて、迷った末に空港のオフィシャルコンセルジュに相談し、安全なタクシーを手配してもらい、不安ながらも無事にホテルまでたどり着く事ができました。現地の気候は日本と正反対で、初夏のさわやかさが心地よく、果物や野菜がとても美味しく、予想よりもはるかに快適でした。写真はホテル付近と、ネルソン・マンデラ広場にあるマンデラ氏の像の前に立つ私、そして果物を売る露店です。(つづく)
今週は山響の本拠ホールの一つである「山形テルサ」が開場10周年を迎え、明日から2日連続で記念公演です。かつて、私たちは定期公演のほとんどを山形市民会館で開催していて、良いとは言えない音響に苦労しながら将来の新ホール建設を夢見ていたものです。1962年に開場し、今日では老朽化した山形県民会館に替わる新文化施設は当初、1999年に開館する予定でしたが、様々な事情により計画が延期され、遂には凍結されてしまいました。この新文化施設の大ホールは2000席ほどの規模を持ち、2000年に開場した山形テルサと並んで山形駅の西側再開発のシンボル的な存在となる予定でした・・・
山形テルサは800席ほどのホールですが、音質はクリアで残響も多すぎず、現在の山響にとって好ましい環境であると言えるでしょう(個人的な観点かも知れませんが)もう少し・・・そう、1200席ほどであればなお良いとは思いますが・・・
山響のサウンドは、飯森監督が着任した影響がもちろん大きいですが、このホールで演奏するようになってから明らかに変わったと思います。以前は残響の乏しいホールで響きを作るためにいろいろ工夫をしてきましたが、テルサではホールが楽器のように共鳴するのでより自然な奏法で音楽を創る事ができるようになりました。それにしても10周年とは早いものです。この次の10年間、山響と山形はどのように変わってゆくのでしょうか・・・
山形も梅雨入りしました・・・昨年より少し遅いようですが、夜になるとわずかに寒さを感じるのは、今年の冷夏の予感なのでしょうか・・・。
先週末、12、13日とヤマハ秋田店でトランペットセミナーの講師として、たくさんの生徒達と「楽しい音楽の時間」を過しました。レッスンでは自分でもたくさん音を出すようにしているので、生徒にとっての見本になると同時に、自分にとっても基本練習をたっぷりできる良い機会です。レッスン後はヤマハのスタッフや友人達などと楽しく飲み会で盛り上がりました。スタッフの中にもかつての生徒もいて、一緒にお酒が飲めるようになった事を嬉しく思うと同時に、時の流れを感じる瞬間もありました。写真は秋田に住む私の舎弟で、大切な親友です。名前も同じ「ヒロシ」です。
今日の山響は大江町で2ステージの音楽鑑賞教室でした。昨日と違いホールでの演奏なので空調に助けられました・・・外ではとてもさわやかな風が漂っていましたが、午後になり風にわずかな重みを感じました。梅雨入りが近いのかも知れません。
山形に戻って、19時からは市立病院済生館内で私が常任指揮者を務めている山形市役所ウィンドアンサンブルによるホスピタルコンサートでした。近年は多くの病院で入院患者へのケアの一つとして院内コンサートを行う病院が増えてきています。3月に私が山形県立中央病院に入院していた時も、ヴォーカルユニットの演奏会を聴く事ができ、心と痛みが緩和され、その夜は良く眠れた事がありました。会場は4階の大会議室で、普段は医療ドラマに出てくるようなシビアな会議が行われているかのような雰囲気でしたが、音楽が響くと部屋の空気も一変します。今日は約30名ほどの入院患者さんと、付添のご家族、職員の方々が聴かれましたが、どなたも満足そうな顔をなさっていたのが印象的でした。また、小児科病棟に入院している子供も聴きにきてくれて、「崖の上のポニョ」を嬉しいそうに聴いていたのが忘れられません。音楽が持つパワーと、それが人と人をつないでゆく事の素晴らしさをあらためて感じた時間でした。
今日は山形市内で音楽鑑賞教室でしたが、演奏会場の体育館はとにかく暑かったです・・・みんな、汗だくで演奏していました。今年度は体育館での演奏が例年より多く、今月から9月中旬まではとても過酷な状況での演奏が続きます。さすがに50歳を過ぎると辛くなってきますが、子供たちの笑顔を見ると、心は涼みます。
昨日は山形北高音楽科の定期演奏会でした。山響から参加した私たちは、午前、午後と山響の公演を終えてからの参加で、毎年このようなスケジュールになってしまいますが、生徒達と同じステージで音楽を創っていくのは大きな楽しみでもあります。ソリストとして演奏した生徒、合唱、そしてオーケストラ・・・どの演奏も集中度の高い、新鮮な音楽でした。私も参加したオーケストラの「くるみ割り人形」でも、本番の演奏はすばらしい出来でした。もちろん、まだ未熟な点もありますが、将来性を感じさせる瞬間がたくさんありました。3年生のトランペット専攻の生徒も、難易度の高いソロをキメてくれました。Bravo! 写真は、トランペットセクションです。本番後の解放感と達成感が伝わってきますね!
定期演奏会最終日の翌日は休日・・・これは山響の就業規則で定められていて、本番後に飲みすぎても充分な回復の時間があるという訳です・・・それは冗談ですが、実際にこの「公休日」を全くの休日として過せる日はほとんどありません。メンバーの多くはそれぞれに生徒のレッスンを持っていたり、学校での教育活動を行う者など、音楽家としてのもう一つの大切な仕事である「教育」に携わっています。私は山形北高に設置されている音楽科で20年以上にわたって講師として指導にあたっていて、今日は本番を明日に控えた音楽科の定期演奏会のリハーサルでした。この音楽科ではピアノ、声楽、管弦打楽器を専攻する生徒が約100人ほど勉強に励んでいて、卒業生の中には昨日のモーツァルト定期で素晴らしい独奏を行った牧さんのような優れたプレイヤーも数多くいます。明日の定期では、独奏、独唱や合唱、それにプログラムの最後にはオーケストラの演奏もあり、今年はチャイコフスキーのバレエ音楽「くるみ割り人形」の抜粋を演奏します。もちろん、講師である私を始め、山響のメンバーも10名ほど出演します。生徒達は日々研鑽を積んだ結果を精いっぱい発揮してくれますので、お時間がある方はぜひ明日の18時から山形テルサにお越し下さい!
モーツァルト定期二日目は、牧さんの出身地である鶴岡市での公演です。牧さんは山形北高音楽科を経て東京芸術大学を卒業し、山響へ入団されました。入団は私より一年ほど後だったと思いますが、それから長い間木管セクションの重要なプレイヤーとして活躍されています。演奏も素晴らしいですが、とても穏やかな人柄で、いつも周りの雰囲気を和ませるあたたかいキャラクターの持ち主です。
今回のモーツァルトの協奏曲は彼にとって2度目の演奏ですが、私は第二楽章で牧さんが穏やかに奏でる歌が大好きです。モーツァルトの音楽が持つすべてのエッセンスが込められて、すべての作品中、最も美しい音楽だと思います。これから本番ですが、今日もすてきな演奏をしてくれることでしょう。
Hiroshi Sato Offizielle Website