Knaben Wunderhorn

Knaben Wunderhorn…「不思議な角笛」です。ルードヴィヒ・アルニムとクレメンス・ブレンターノによって編纂されたドイツの詩集で、ドイツ版マザーグースと言われています。マーラーはこの詩集の多くに曲を付け、交響曲にも転用したりしています。マーラーの音楽に見られるメルヘンやロマンティックな雰囲気はこの詩集の影響があると考えられていて、幼い頃見た軍楽隊の太鼓や、戦争、葬礼などの印象と併せて独特の人生観、死生観を表しています。今回取り上げる「不思議な角笛」は、マーラーの歌曲集のなかでも私が特に好きな一つですが、「美しいラッパが鳴り響くところ」で歌われる……「僕は戦いに行く、緑の広野に…ラッパが美しく鳴り響くところ…緑の芝に覆われたところに私の家がある……」これは死んだ兵士の魂が恋人のもとへ帰る情景をあらわしていて、とても印象的な場面です。「緑の芝に覆われたところ」はお墓を指しています。また、戦死した兵士の悲惨な運命を歌った「死んだ鼓手」も生と死が交差する不思議な雰囲気が印象的です…

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