Spring wind

山形に戻ると、あれほど積もった雪がほとんど溶けていました。タイヤから伝わる音は春のサウンドがするようです。まだ朝夕は気温が低いものの、昼間の風は春の匂いがしますね。また、街のあちこちで見かける引越しの風景も、この季節を表すものです。今年度もあとわずか…明日からは宮城県美里町で31日に行われるベートーヴェン第九のリハーサルです。復興への願いを込めて演奏したいですね…

Tomei expwy

名古屋での会議を終えて、おそらく初めて乗る「こだま」で浜松に戻り、ヤマハを早期退職し独立して自らの工房を立ち上げた世界的なトランペット技術者の亀山敏明さんと、日本では唯一であるコルネットのソリストである浜松在住の岡本篤彦さんと3人で盛り上がりました。亀山さんは特にマウスピース制作の分野で世界的なマイスターで、著名なソリストや各国のオーケストラ奏者から絶大な信頼を得ています。ヤマハ時代はフランクフルトやハンブルグで長く勤務し、ヤマハトランペットの設計や制作に携わり、今日のヤマハトランペットの品質高上に大きく貢献されました。その後日本に戻られて「XENO」と呼ばれるモデルを産み出し、世界トップの楽器として名声を得ることになります。私は1991年から亀山さんとおつきあいが始まり、新製品のテストや改良などたくさんの仕事をしてきました。試作機の調子が悪い時には東京から山形に来ていただき、本番直前に調整していただいたりした事も何度もありました。個人的にも歳の離れた「親友」的な存在で、絶対的な信頼を寄せていました。そんな亀山さんも、50歳になったのをきっかけにヤマハを退職して新たな道を歩みはじめます。当時、亀山さんは「定年後だと体力もなくなるし、まだ若いうちに切り替えたい」と言って独立しましたが、その決断は正しかったと思います。私も50代に入り、演奏に加えてゼネラルマネージャーとしての仕事もするようになりましたが、社会人としての全盛期に新たな方向を目指し始めた私の考えを亀山さんは理解し、応援してくれました。

今日は浜松から東名高速を走り、東京経由で山形を目指します。今回は名古屋での会議が主な目的でしたが、自分の将来について仕事上最も尊敬し、信頼できる人と話をする事ができた事で、これからの仕事に自信が持てたような気がしました。快晴の青空に映える富士山がとても美しく、凛として見えました…

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Hamamatsu〜Nagoya

東京での本番を終えて、浜松までおよそ250キロの距離を渋滞にはまりながら走り、21時頃にホテルに入りました。浜松では25年前からお世話になっているヤマハ本社のトランペット設計の今岡さんと7年ぶりに会い、少しの時間ですがビールを飲みながら旧交を温めました。お互い50代になり仕事の内容も変わりましたが、久々に会ってもすぐに時間を取り戻せるところが良いですね。

今日は浜松から新幹線で名古屋に移動し、MUJオーケストラ協議会の会議です。昨年夏に議長を退任してからは忙殺からは開放されましたが、オーケストラを取り巻く環境はなかなか好転しないばかりか、大阪での改革などが文化活動の衰退に繋がらないか懸念されます。業界が一体となったパワーがこれから更に必要です…議論をしながらそんな事を考えていました。

Tokyo Big Sight

「アニメDEエール」ツアー最終日は東京ビックサイトでの公演でした。ここでオーケストラがコンサートを行うことはほとんどなく、しかも東北のオーケストラが出演するのは極めて珍しいことです。ツアー二日目の岩沼市で共演した合唱団も合流し、その素晴らしい歌声は東京の聴衆にも感動していただけたようです。今回は被災した三県と東京で復興への願いを込めたコンサートを通して、音楽とアニメを始めとする文化の力で「心の復興」に貢献することができ、音楽家として一つの大きな役割を果たすことができたと思っています。これからも長い時間がかかるでしょうが、私たち音楽家の力が少しでも役立つよう、がんばっていきたいと思いました。関係者の皆様にあらためて感謝いたします!

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Nihonmatsu

ツアー3日目は「菊人形」で有名な二本松市です。ホールのロビーには1988年と2006年に演奏した第9のステージフォトが展示してあり、特に88年の写真は今と半数以上が違うメンバーで、時の流れにあらためて驚きます。コンサートは集客が今ひとつでしたが、楽しんでいただけたようです。明日は最終日、東京ビックサイトで開催されている東京国際アニメフェアのイベントとして演奏します。

Iwanuma

公演2日目は岩沼市民会館です。ここは海岸に近く、津波被害が甚大だった地域で、折りしも今日付けで沿岸地域に住んでいた方々の集団移転が決まったとの報道がありました。市民会館の周囲は仮設住宅が並び、人々の表情は落ち着いて見えますが、やはりその心情を案じずにはいられません。コンサートでは地域の合唱団が素晴らしく、年齢層も広い事からアットホームな雰囲気が漂っていました。合唱団員の中にも被災された方がいらっしゃったと思いますが、明るい表情と元気な歌声に
こちらが励まされたようでした。

Kitakami

「アニメDEエール」コンサート初日は岩手県北上市のさくらホールです。とても音響の良いこのホールは、昨年も音楽宅急便で訪れました。今日は地元の児童合唱団も合流し、アニソンを元気に歌ってくれました。写真は今回のために新たにアレンジされたゴーカイジャーのパート譜です。オーケストラで演奏するゴーカイジャーもなかなか良いですよ!

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Packing

なんとか荷造りが終わりました…
明日から北上市、岩沼市、二本松市、東京と「アニメDEエール」のコンサートツアーです。私はさらにその後名古屋市、浜松市で仕事があり、一週間の旅になります。明日の北上市はまだ寒そうですが、他は暖かそうなので衣類の選択に悩みます。例年ならばとっくに春物だけで大丈夫なのですが、今年は天候が予想しにくいですね…

the vernal equinoctial

the vernal equinoctial・・・「彼岸」です。

彼岸とは、春分、秋分の日をはさむ前後7日間を指します。 初日は彼岸の入り、中心の日は中日、最後の日を彼岸明けといって、合わせてこの七日間は、お寺、家庭で彼岸の法要が行なわれます。「春分の日」は「自然をたたえ生物をいつくしむため」に、また「秋分の日」は「祖先を尊び、亡くなった人をしのぶため」と、国で祝日に定めているように、彼岸はあの世(彼岸)の死者の安らかな成仏を願うという意味にあてられています。

「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、今年はまだそういう表現には遠く、まだまだ寒いですね。春分の日にお墓が雪で埋まっている光景は、そう見られるものではありません。でも、雪が降り積もった下の土は雪に守られて、春の息吹が育ちつつあります。新たな季節はもうそこまで来ています・・・

Music day

3月19日・・・日本音楽家ユニオン(MUJ)では20年以上前から、この日を「ミュージック(3-19)の日」と定め、生演奏振興と音楽文化を広める日として全国一斉にライブやコンサートを開催しています。首都圏や関西では屋外での演奏も行われますが、東北や北海道ではまだ寒い時期なのでミニコンサートやライブハウスでの演奏になります。山響のユニオンでも保育園や公民館で演奏したり、かつては連合山形の春闘決起集会に参加し、演奏でエールを送ったこともありました。今年は震災からの復興や、子供達への音楽のプレゼントといったコンサートが多く行われ、全国のミュージシャンが生演奏をさまざまなところに届けています。MUJの活動も時代によって変化していて、特にオーケストラユニオンの活動はそれぞれの地域の状況に合わせた方法で進められるようになってきています。いずれにしても、「ミュージックの日」がミュージシャンが音楽のプレゼントをする日であることにはありません。たくさんの方々に音楽の素晴らしさを少しでも感じていただければ嬉しいですね。