9日から今日まで、山響の初仕事が無事に終りました。9、10日は山形テルサでのレコーディングセッションで、シューマンの交響曲の収録をしました。ご存知の方も多いと思いますが、山響はクラシックのプロオーケストラとしては日本初となる自主レーベル「YSO Live」を立ち上げ、これまでに7枚のCDをリリースしています。この、「自主レーベル」というのがよく解らない、とのご指摘をよく受けますが、分かりやすく言うとCDの原盤権を山響が保有し、著作物としての権利と管理を自らが行う、と言う事です。実際のレコーディング作業は、日本有数のレーベルであるオクタヴィアレコードが行い、通常の流通ルートで販売されます。クラシックのCDは世界的に販売が落ち込みが進み、それに伴う業界再編も急速に進んでいて、かつてカラヤンとの共同作業で名を馳せた名門「ドイツグラモフォン」も、今ではライバル会社と持ち株会社を設立し、安定した経営に必死です。
山響のCDはライブ演奏の収録を基本としていますが、リハーサルや本番当日のゲネプロと呼ばれる通し練習も収録し、演奏に不具合が出た場合に備えます。編集を多くする事で本番の雰囲気が損なわれる、という意見も内外にありますが、私個人の考えとしてはレコーディングというのは映画を撮るのと同じだと思っています。映画もワンシーンごと細かく収録し、編集を重ねて一本のストーリーが完成します。たとえ編集が多くなったとしてもオーケストラの音楽がしっかりとでき上がっていれば違和感のない作品ができると私は考えています。
今回の収録は、今年後半頃にリリース予定のシューマンの交響曲全集に含まれるもので、第1番、第2番、第4番をオリジナル楽器で演奏します。第4番は飯森/山響の初CDとしてすでに発売済みですが、今回は初稿を使い新たに収録し直しました。前回の第4番はモダン楽器での演奏だったので、2種類の版によるCDができる事になります。第3番はモダン楽器での演奏ですが、演奏のコンセプトはオリジナル風です。今回は9、10日に第1番の収録と第2番、第3番の部分収録を行い、第4番の収録は来週17、18日です。全集ができ上がるのが楽しみですね。