School Concert

山響が創設以来、自らの理念のひとつとして大切にしているものに、「スクールコンサート」があります。ご存知の方も多いと思いますが、オーケストラが学校に出向いて児童・生徒の目の前で音楽を体験してもらうという、大変貴重な演奏会です。これは日本独自のコンサート形態として、FIM(国際音楽家連盟)のオーケストラ会議で実態を報告したほどで、不況の中、次世代の聴衆や音楽ファンを育成するため、また教育行政を充実させるための適切な手段の一つとして、世界中のオーケストラから注目されはじめている重要な事業です。日本では、特に地方のオーケストラではほとんど例外なく開催されていて、山響では現在は年間約100公演ほどの演奏会を行っています。私が入団した1980年代中期は、現在よりも子供の数がとても多かったため、一日3公演は当たり前で、年間170公演もあった年もありましたが、現在では一日2公演、年間100公演ほどに落ち着いています。私たちはこのコンサートを「音教」(音楽鑑賞教室、の略)と呼んでいて、一般のコンサートと区別する傾向にありますが、どんな本番でも最良の音楽を提供する事には変わりありません。今日も体育館の温度は30度〜35度ほどでしたが、子供たちの生き生きとした表情を見ると、定期公演とは違った充実感があり、演奏家としての喜びを感じる事ができます。(写真は山響ホームページより)

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Busy days

東京オペラシティでの本番以降、23日から今日までは、毎日山響の本番、生徒のレッスン、吹奏楽の指導、会議、指揮している2つの団体のリハーサルと、今日が(27日)そのうち一団体の本番、その後またレッスン・・・そして飲み会もあったりして大変なスケジュールでした。ブログの更新も、帰宅してメールをチェックしてMUJの仕事をしていたら明け方近くなっていたりして、連日力尽き、今日までお休みでした。また、ここ数日間は(今日は特に)気温が30度以上になり、体力の消耗も大きかったですね。そんな中、今日は(もう昨日ですが)上山市音楽祭で、けやきの森ブリティッシュブラスバンドの本番でした。

この音楽祭は、上山市の主催で長らく続けられているもので、私たち以外にも中・高校生や社会人の音楽サークルがたくさん出演し、それぞれの個性を発揮した素晴らしい演奏が続きました。けやきは、通常のレギュラーメンバーの他にエキストラと呼ばれる客演プレイヤーも入り、いつものサウンドを基調としながらも、少し違ったカラーも出て、とても楽しく指揮できました。外は大変暑く、楽器搬入などでたくさんの方々がお手伝いとしてそれぞれの団体をサポートしていましたが、演奏を聴かれた方は、ホール中に拡がる「音楽のイオン」を感じて、わずかな時間ではあるものの、さわやかな時を過ごされたのでは、と思いました。

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Rain

今日の天気は、まさしく「梅雨」らしい天気で、しっとりとした空気と静かに降る雨は、日本の初夏らしい雰囲気を醸し出しています。私は梅雨のない北海道生まれなので、大学生になり東京での生活がスタートしてから初めて経験した梅雨は、慣れない一人暮らしの寂しさと相まって、憂鬱さ倍増でした・・。しかし、東京での生活にも慣れ、大学生活を楽しむ中でいつしかこの季節にも体が馴染み、新たな季節感を感じることができるようになりました。山形で過ごした時間はすでに25年以上になりますが、東京とは異なるきれいな空気と穏やかに流れる時間が、この季節をより美しいものにしていると思います。でも、昔の日本は東京でも今より情緒豊かな風景がたくさんあったに違いありません。なぜなら、この時期を謡った楽曲にはとても美しいものが多く、中でも中山晋平(1887〜1952)は「雨降り」「雨降りお月さん」「てるてる坊主」と3曲も作曲していて、日本の初夏を情感豊かに表現しています。梅雨が明ければ猛暑なのかも知れませんが、今は雨に濡れる紫陽花を見ながらさまざまな想いを巡らせたいものです。

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Tokyo Opera City Concert Hall〜Takemitsu Memorial〜

ホール中に響き渡る美しいサウンドと、息をのむようなピアニシモ・・・万雷の拍手の中、「さくらんぼコンサート」は満員の聴衆とオーケストラとの心が一つになった素晴らしい演奏会でした。交響曲第二楽章のイングリッシュホルンのソロは、心にしみ込むような忘れられない響きとして、いつまでも人々の記憶の中にとどまり続けることでしょう。このコンサートホールは、世界的な作曲家である武満 徹(1930〜1996)が監修したことから(完成は死後)「タケミツ・メモリアル」の名が付けられています。形状はシューボックス型ですが、コンサートホールとしては異例に高い三角形の天井が印象的で、まるで武満氏が天から音楽を聴いているかのような雰囲気があり、音響的にも大変優れたホールです。武満氏自身は、金管楽器の響きをあまり好んではいなかったと言われており、指揮者小沢征爾氏との対談書として大変有名な『音楽』(新潮社、1981年)の中からも、氏独自の音楽観を伺うことができます。そのような武満氏も、私たち金管奏者にとってきわめて重要な曲を残してくれています。20世紀の金管音楽の中でも最も重要なレパートリーの一つで、フィリップ・ジョーンズ・ブラスアンサンブルの委嘱により作曲された「ガーデン・レイン」(1974年)や、 「ヴィトルド・ルトスワフスキの追憶に」と題された「径」(みち Paths – In Memoriam Witild Lutoslawski – 1994年、トランペットソロ)は、きわめて繊細なテイストで作曲されており、金管楽器に対する印象を大きく変える作品です。山響のブラス・セクションも、近年はより多彩かつ繊細な表現力をも持ち合わせた素晴らしいセクションになりつつあります。カリニコフの最後のアコードが三角形の天井に届いたとき、私たちの演奏を聴いていた武満氏の顔が、ほんの少しだけ微笑んだように私には感じられました・・・・。

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Tokyo Opera City

昨日から山響は東京公演のため、本番会場の東京オペラシティに移動してリハーサルを行いました。このコンサートは「さくらんぼコンサート」として
毎年続けられており、楽しみにされているお客様もたくさんいらっしゃいます。近年は5月の定期公演のプログラムを演奏することが定例化していて、ラヴェル、ラロ、カリニコフの3曲を披露します。オペラシティのリハーサル室は数ヶ所あり、昨日も東京フィル、東京シティフィルも別室でリハーサルをしていました。休憩時間にはそれぞれのオーケストラにいる友人たちと談笑するする姿が多く見受けられ、私も久しぶりに会う学生時代からの友人たちと懐かしいひとときを過ごしました。リハーサルはスムーズに進み、終了後は都内にいる私の門下生と飲み会で楽しく盛り上がりました。
今日は午後からゲネプロ〜本番です。カリニコフがどう響くのか、大変楽しみですね!

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Yonezawa

午前中に久々に髪を切り、ヘアサロンを出たら、軽くなった(薄くなった、ではありませんよ)髪の間を、梅雨時のしっとりとした空気が絡みつくように通り過ぎてゆきました。毎年、この時期は大変に多忙で、演奏に教育に、MUJも忙しかったりして、完全な休日はほとんど・・・6月は一日だけですね・・・。今日も午後から米沢市内の中学校で、トランペットパートのレッスンでした。でも基礎的な練習は生徒と一緒に吹くので、自分のトレーニングにもなり、心身ともにリハビリしてるようなものです。以前ある人から、「忙しい、という字は心が亡びると書く」と言われたことがあり、時間の使い方を省みた事がありました。でも、ある程度忙しい時の方が集中力や充実感もあるし、仕事の効率も良いような気もします。最近は「心」より「体」が亡びないように気をつけないといけない世代になってきましたし・・・早く梅雨が終わって、抜けるような青空が見たいですね!

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MUJ/Orchestra Conference

昨日、東根市内での本番を終え、車で東京へ移動し、MUJオーケストラ協議会の会議に出席しました。オーケストラ協議会というのは、1975年に結成されたMUJの内部組織で、全国のオーケストラのユニオン組織により、構成されています。全国を東日本、関東、中部、関西、西日本の5ブロックに分けて、それぞれの地区から役員(「幹事」と呼んでいます)が選出され、執行部は議長、事務局長、事務局次長の3役で構成されており、これを含む合計14名の役員により運営されています。私は1996年から東日本の役員を務め、事務局次長、事務局長を経て、2003年より議長の任にあります。昨日の会議は3ヶ月に1度開催される「全国幹事会」と呼ばれるもので、音楽やオーケストラに関連するさまざまな問題を議論しています。役員は全員現役のプレイヤーなので、演奏活動を続けながらのユニオン活動は困難も伴いますが、オーケストラの状況が少しでも良くなるよう、力を尽くしています。また、現在はインターネットで世界中のオーケストラとネットワークが構築されているので、他の国で起こっている問題に対してサポートをする事も即座に可能ですし、オーケストラの世界は基本部分ではどの国も共通しているので、国際的なネットワーク作りは大切です。私にとっても東京までの通勤(関連する会議を含めると毎週のように上京する事もあります・・)は負担にならないといえば嘘になりますが、演奏と同じくらい大切な仕事と思っています。今日はこれから寒河江市内で本番です。毎日より良い演奏が出来るよう、頑張ります。

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Akita

土曜日は終日山形6中で吹奏楽の合奏指導をした後、吹奏楽部の保護者懇親会に参加し、秋田まで移動しました。山響がオフの日は北高音楽科でのレッスンや、中、高校での吹奏楽のクリニックや個人レッスンなど、教育活動に取り組んでいます。山形でもたくさんの学校で指導していますが、隣接する秋田県でも20年以上にわたって多くの学校で指導を続けています。今日は秋田市内の中学校で山響のオーボエ、ホルン、トロンボーンの同僚と共にそれぞれのパートの指導をしました。同じ東北の中学生でも県による個性の違いがあり、大変興味深くあるとともに、たくさんの生徒達と出会えることは大きな楽しみですね。吹奏楽の世界では、7月が地区大会なので、どの学校でもこれからボルテージが高くなってゆくでしょう。良い演奏になるよう、ベストを尽くして頑張ってほしいですね。写真は午後6時過ぎ、夕日が東側の山を照らしているところです。(運転しながらなので、うまく撮れなかったです)明日は山響の音楽鑑賞教室の本番が2ステージ、その後東京へ移動してMUJ本部でオーケストラ協議会の会議です・・・。

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Tokyo/Kasumigaseki

今日はMUJ(日本音楽家ユニオン)のオーケストラ協議会議長として、執行部のメンバーと共に文化庁の芸術文化課に国の文化政策について、担当者との意見交換に来ています。この話し合いは、長年にわたって毎年続けられているもので、文化行政のありかたや、オーケストラ界からの提言、また要求など多岐にわたるとても重要なセッションです。近年さらに厳しくなる不況下において、日本の文化予算は他の省庁に比しても削減の度合いは低く、むしろ子供たちへの舞台芸術体験事業などは毎年増え続けており、評価できる分野もあります。しかし、諸外国、特に欧米に比べて国家予算における文化予算そのものがまだ低く、経済的な影響力を世界に保ち続けている日本としては、それに見合う文化国家となるためにはさらなる発展が必要です。今日のセッションではさまざまな意見交換を行い、担当者(いわゆる「役人」と言われる方々)からも積極的な発想に基づく発言もありました。文化の発展は大変時間のかかる事ですが、演奏家や行政、聴衆の皆様などが話し合いを重ねて展望を持てばきっと新たな発想と展開が生まれてくる、と私は信じています。

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Pictures at an Exhibition

昨日(9日)は白鷹での山響の本番を終えた後、山形テルサで山形北高音楽科の第45回定期演奏会がありました。私はこの音楽科で20年以上講師を務めています。公立高校の音楽科としては、東北、北海道では初めて創設され、今日までたくさんの卒業生を送り出し、国内の第一線で活躍する音楽家も数多く輩出しています。各学年の6組が音楽科で、現在約100名の生徒達が専門的な勉強に取り組んでいます。山響からも管弦打あわせて9名の団員が講師としてレッスンを行っています。昨日は3年生から選抜されたソロと室内楽、合唱、そしてオーケストラと充実したプログラムで、長い間の練習の成果を披露してくれました。現在、私がレッスンしているトランペット専攻の生徒は3人で、3年の土田紘愛さん(写真・私の隣)は前半のプログラムで現代アメリカの作曲家、イウェイゼンのソナタで素晴らしい演奏をやってのけ、後半のムソルグスキー/ラヴェルの「展覧会の絵」でも冒頭のソロを完璧にキメて大活躍でした!オーケストラといっても、弦楽器の専攻生は数名しかいないため、大半は副科の生徒達なのですが、本当にみんな頑張ってくれました。ここ数年は「ラプソディ・イン・ブルー」「火の鳥」など大曲が続いて、生徒や指導する講師の負担も大きくなりましたが、今年も見事に良い結果を出してくれましたね。特に3年生は昨年秋から今年春までの間、音楽家としても人間的にも大きく成長したと思います。これから本格化する受験勉強にも、きっと強い気持ちで向かってくれるでしょう。プログラムの後半、「展覧会の絵」を生徒達と一緒に演奏しながら、私は成長した生徒達みんなのこれまでの想いが、何枚もの絵となってホール中に響き渡ったような気がしました。

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