復興への願いを込めたベートーヴェン「第九」のコンサートが終わりました。ソリストも合唱も素晴らしく、今回もオーケストラはオリジナル楽器で、昨年末の山形テルサでの公演では使用しなかったナチュラルホルンも今回は使用し、第三楽章のソロは岡本さんが見事に演奏していました。ブラボーです。終演後はロビーで打ち上げがあり、飯森監督に付いていた私も参加して多くの皆さんと話をすることが出来ました。震災当時、全国のミュージシャン達は自らの無力さを無念に思っていましたが、仙台フィルの献身的な活動を目の当たりにしてジャンルを問わずに立ち上がり始めます。そして、被災地や避難所へ音楽を届け、お互いの気持ちを一つにすることで音楽の力をあらためて知る事になります。美里町の皆さんのお話からも、音楽の大切さがとても良く伝わってきて、こちらが逆に励まされるような気がしました。明日からの新年度も、より多くの方に音楽を届けてゆきたいと、気持ちを新たにして会場を後にしました・・・・
月別アーカイブ: 2012年3月
Misato
Audition
今日は第9のリハーサルを早めに切り上げて、バイオリンとチェロのオーディション二次試験が行われました。先日の一次試験を通過した受験者の、さらに難しい課題に挑む姿は真剣そのもので、年々上がってゆくレベルの高さを物語っているようです…新たな若いプレイヤーを迎えられる日ももうすぐかもしれません。
Spring wind
山形に戻ると、あれほど積もった雪がほとんど溶けていました。タイヤから伝わる音は春のサウンドがするようです。まだ朝夕は気温が低いものの、昼間の風は春の匂いがしますね。また、街のあちこちで見かける引越しの風景も、この季節を表すものです。今年度もあとわずか…明日からは宮城県美里町で31日に行われるベートーヴェン第九のリハーサルです。復興への願いを込めて演奏したいですね…
Tomei expwy
名古屋での会議を終えて、おそらく初めて乗る「こだま」で浜松に戻り、ヤマハを早期退職し独立して自らの工房を立ち上げた世界的なトランペット技術者の亀山敏明さんと、日本では唯一であるコルネットのソリストである浜松在住の岡本篤彦さんと3人で盛り上がりました。亀山さんは特にマウスピース制作の分野で世界的なマイスターで、著名なソリストや各国のオーケストラ奏者から絶大な信頼を得ています。ヤマハ時代はフランクフルトやハンブルグで長く勤務し、ヤマハトランペットの設計や制作に携わり、今日のヤマハトランペットの品質高上に大きく貢献されました。その後日本に戻られて「XENO」と呼ばれるモデルを産み出し、世界トップの楽器として名声を得ることになります。私は1991年から亀山さんとおつきあいが始まり、新製品のテストや改良などたくさんの仕事をしてきました。試作機の調子が悪い時には東京から山形に来ていただき、本番直前に調整していただいたりした事も何度もありました。個人的にも歳の離れた「親友」的な存在で、絶対的な信頼を寄せていました。そんな亀山さんも、50歳になったのをきっかけにヤマハを退職して新たな道を歩みはじめます。当時、亀山さんは「定年後だと体力もなくなるし、まだ若いうちに切り替えたい」と言って独立しましたが、その決断は正しかったと思います。私も50代に入り、演奏に加えてゼネラルマネージャーとしての仕事もするようになりましたが、社会人としての全盛期に新たな方向を目指し始めた私の考えを亀山さんは理解し、応援してくれました。
今日は浜松から東名高速を走り、東京経由で山形を目指します。今回は名古屋での会議が主な目的でしたが、自分の将来について仕事上最も尊敬し、信頼できる人と話をする事ができた事で、これからの仕事に自信が持てたような気がしました。快晴の青空に映える富士山がとても美しく、凛として見えました…
Hamamatsu〜Nagoya
東京での本番を終えて、浜松までおよそ250キロの距離を渋滞にはまりながら走り、21時頃にホテルに入りました。浜松では25年前からお世話になっているヤマハ本社のトランペット設計の今岡さんと7年ぶりに会い、少しの時間ですがビールを飲みながら旧交を温めました。お互い50代になり仕事の内容も変わりましたが、久々に会ってもすぐに時間を取り戻せるところが良いですね。
今日は浜松から新幹線で名古屋に移動し、MUJオーケストラ協議会の会議です。昨年夏に議長を退任してからは忙殺からは開放されましたが、オーケストラを取り巻く環境はなかなか好転しないばかりか、大阪での改革などが文化活動の衰退に繋がらないか懸念されます。業界が一体となったパワーがこれから更に必要です…議論をしながらそんな事を考えていました。
Tokyo Big Sight
「アニメDEエール」ツアー最終日は東京ビックサイトでの公演でした。ここでオーケストラがコンサートを行うことはほとんどなく、しかも東北のオーケストラが出演するのは極めて珍しいことです。ツアー二日目の岩沼市で共演した合唱団も合流し、その素晴らしい歌声は東京の聴衆にも感動していただけたようです。今回は被災した三県と東京で復興への願いを込めたコンサートを通して、音楽とアニメを始めとする文化の力で「心の復興」に貢献することができ、音楽家として一つの大きな役割を果たすことができたと思っています。これからも長い時間がかかるでしょうが、私たち音楽家の力が少しでも役立つよう、がんばっていきたいと思いました。関係者の皆様にあらためて感謝いたします!
Nihonmatsu
ツアー3日目は「菊人形」で有名な二本松市です。ホールのロビーには1988年と2006年に演奏した第9のステージフォトが展示してあり、特に88年の写真は今と半数以上が違うメンバーで、時の流れにあらためて驚きます。コンサートは集客が今ひとつでしたが、楽しんでいただけたようです。明日は最終日、東京ビックサイトで開催されている東京国際アニメフェアのイベントとして演奏します。
Iwanuma
公演2日目は岩沼市民会館です。ここは海岸に近く、津波被害が甚大だった地域で、折りしも今日付けで沿岸地域に住んでいた方々の集団移転が決まったとの報道がありました。市民会館の周囲は仮設住宅が並び、人々の表情は落ち着いて見えますが、やはりその心情を案じずにはいられません。コンサートでは地域の合唱団が素晴らしく、年齢層も広い事からアットホームな雰囲気が漂っていました。合唱団員の中にも被災された方がいらっしゃったと思いますが、明るい表情と元気な歌声に
こちらが励まされたようでした。