今年度の文化庁公演ツアーも今日の茨城県内のコンサートで全て終了になりました。スクールコンサートは私が入団した1984年当時はそれだけで150ステージ以上行っていて、1日3ステージすべて違う場所というのも普通でした。文化庁公演を山響も担当できるようになったのはここ10年ほどと思いますが、現在では文化庁公演が秋と冬合わせて20公演ほどにもなり、隔世の感があります。また、震災以降は公演数が激減した東北電力主催のスクールコンサートも、以前は10公演ほどあり、文化庁公演と合わせて楽団の重要な収入源となっていました。私が入団した頃は文化庁も東北電力も、山響にはほとんど注目しておらず、バブル期に多かった企業の主催公演にもほとんど縁がなく、山形県内や東北を独自に巡回するスクールコンサートが主たる事業で、定期演奏会は年度内に4〜5回程度でした。昔のことが何でも良いとはもちろん言いませんが、行政や企業が主催する公演は、永続的な保証の上に成り立つものではなく、政権や経済の都合でどうにでもなってしまう性質を持つものであることは言うまでもありません。山響が創立以来掲げてきた理念であるスクールコンサートは、まず山形県内の子供達に最も多く聴いてもらうべきものと私は考えています。文化庁は行政として国全体の文化振興に責任を持ち、企業は地域に利益を還元し、オーケストラはその支援と自らの努力で地域に根ざした活動をより強めてゆく、というつながりが今後も拡がってゆかなければなりませんね。